裏コードとは?
裏コードとは、別名、「フラットファイブサブスティテューション」、「トライトーンサブスティテューション」とも呼ばれるコードです。
裏コードは、Ⅴ7(ドミナントセブンス)のルートからDim5(ディミニッシュドフィフス)のインターバルだけ離れている音をルートにしたドミナントセブンスのことです。
裏コードはⅤ7→Ⅰ(ドミナントモーション)になっているドミナントセブンスの代わりに使用できます。これは、Ⅴ7のコードと裏コードが同じトライトーンを共有しているためです。
トライトーンとは?
Aug4(オーギュメンテッドフォース)、またはDim5(ディミニッシュドフィフス)のインターバルは、別名「トライトーン」と呼ばれます。
トライトーンの名前の由来
以下の図を御覧ください。
トライトーンは先程、Dim5のインターバルのことだと解説しました。このDim5は、全音3つ分のインターバルと同じです。
トライトーンの「トライ」は、「3」を意味します。トライアングルの「トライ」も「3」の意味ですね!
3つの全音=トライトーンというように考えると覚えやすいかと思います!
ドミナントセブンスに含まれるトライトーン
ドミナントセブンスにはトライトーンが含まれています。「C7」を例に確認してみましょう。
このように、3から♭7までのインターバルがトライトーン(Dim5)になります。
トライトーンがドミナントモーションを生む
このドミナントセブンスに含まれるトライトーンが、ドミナントモーションを生みます!
G7→Cのドミナントモーションで確認してみましょう。
- G7の3(B)がCのルート(C)へ解決。
- G7の♭7(F)がCの3(E)へ解決。
ドミナントモーションでは、トライトーンはこのように解決します。
G7の3度の音は導音(リーディングトーン)でしたね!導音が含まれていることでⅠのコードへ進もうとする力が強くなります!
このように、導音(リーディングトーン)と、トライトーンがドミナントモーションを生むのです!
Ⅴ7とトライトーンを共有している裏コードとは?
以下の2つのドミナントセブンスコードを御覧ください。
この2つのコードがどんな関係かというと、G7がⅤ7の時、D♭7はG7の裏コードになります。
最初に説明した通り、裏コードはⅤ7のルートから、Dim5上の音をルートにしたドミナントセブンスのことです。
それぞれのドミナントセブンスのトライトーン(3rd、7th)を見てみましょう。
- G7の3rd : B
- D♭7の7th: C♭
- G7の7th : F
- D♭7の3rd: F
「B」と「C♭」は異名同音なので、実際は同じ音ですね!(復習→臨時記号と異名同音)
この2つのコードを比べると、3rdと7thの関係が逆になってるだけで、トライトーンは同じ音ですね!
このように、この2つのコードは共通したトライトーンが使われているので、G7の代わりにD♭7(裏コード)を使うことができるのです。
裏コードの使い方
裏コードには2つの使い方があります。
Ⅴ7→Ⅰ(ドミナントモーション)になっているドミナントセブンスの代理として裏コードを使用する。
以下のⅡ→Ⅴ→Ⅰ(ツーファイブワン)の進行を見てみましょう。キーはCメジャーです。
|Dmi7 |G7 |CMA7 |
Ⅱmi7 Ⅴ7 ⅠMA7
こちらのG7(Ⅴ7)を裏コードにしてみましょう!
|Dmi7 |D♭7 |CMA7 |
Ⅱmi7 ♭Ⅱ7 ⅠMA7
裏コードは、♭Ⅱ7で表します。
裏コードは、トニックから見た場合、トニックの半音上をルートにしたドミナントセブンスになるためです。
ベースの音を見ると、D→D♭→Cと、半音ずつ下がっていてスムーズな流れになっています。
セカンダリードミナントの代理として裏コードを使用する。
裏コードは、セカンダリードミナントの代わりとしても使用することができます。
以下のセカンダリードミナントを使用したコード進行を見てみましょう。キーはCメジャーです。
|CMA7 |A7 |Dmi7 |
ⅠMA7 Ⅴ7/Ⅱmi7 Ⅱmi7
A7がⅡmi7に向かおうとするセカンダリードミナントですね!
このA7を裏コードに替えてみましょう。
|CMA7 |E♭7 |Dmi7 |
ⅠMA7 ♭Ⅱ7/Ⅱmi7 Ⅱmi7
セカンダリードミナントの裏コードは、「♭Ⅱ7/○○」と表記します。♭Ⅱ7に/(スラッシュ)をつけ、その横に進もうとするコードを書きます。
このように、セカンダリードミナントにも裏コードが使用できるのです!
裏コードまとめ
- Ⅴ7→Ⅰ(ドミナントモーション)になっているドミナントセブンスだけに使われる(セカンダリードミナントも同様)。
- ベースラインを見ると、必ず半音上から解決する。
- 裏コードをアナライズ(分析)する時は、解決先をよく見る。それがトニックコードに解決するか、セカンダリードミナントの代理かは、ドミナントセブンスの次のコードを見て判断する。
今回で、第5章は終了です。本当にお疲れ様でした(*^^*)!